ナミダ花火


私は屋台のりんご飴が好きで、毎年お祭りに来ると必ず買う。


「ありがとうございます」


屋台のおじさんからりんご飴を受け取り、私はそれを食べながら歩く。


「うん。外の飴はパリパリで、中のりんごがシャキシャキしてて美味しい。やっぱりりんご飴は最高だなー」


そうだ。大地に念の為、お祭りに来ているってことを連絡しておこう。


【今、お祭り会場にいます。
神社のほうで待ってるので
来てくれると嬉しいです】


……送信してしまった。


もしかしたら、こんなメッセージを送るのはすごく勝手なのかもしれない。


大地の気も知らずに、一方的かもしれない。


だけど、やっぱり私は大地に会いたいから。


私は神社のほうへと移動すると、近くの石段に腰をおろす。


大地が今日来てくれるという保証なんて、どこにもないけれど。


お祭りはさっき始まったばかりだ。諦めるのは、まだ早い。


大地はきっと来てくれるはずだと、信じてここで待とう。


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