ナミダ花火
ヒューッ ドーン!
「……え?」
大きな音がしたので視線を上にやると、色とりどりの花火が夜空に光って咲いている。
花火、始まっちゃったんだ。
薄暗かった辺り一面が、花火で一気に明るくなる。
花火はやっぱりきれいだな。
そう思いながら、ふと視線を空から下へと向けたとき。
「……え?」
見えてしまった。
大地が浴衣姿の女の人と一緒に歩いているのが。
しかもあの人、SNSで見た写真で大地と一緒に写っていた金髪の人だ。
一度見たら忘れられないくらいすごく綺麗な人だったから、間違いない。
「……っ」
ずっと信じたくなかったけれど。
実際にふたりが一緒に歩く姿を、この目で見てしまったら……
あの人が大地の彼女だっていうのは、本当だったのだと思い知らされる。
あの人と一緒にいるのなら、どれだけ待ってても大地はここに来るはずがない。
「……バカみたい」