ナミダ花火


「は? 彼女……? 何言ってるんだよ、鈴華。あれは、俺の姉貴だ」

「え?」


大地のお姉ちゃんって……。


「うそ!? あの人、夏海(なつみ)ちゃんなの!?」

「ああ、そうだけど?」


夏海ちゃんとは、3歳年上の大地のお姉さんだ。


「夏海ちゃん、会わないうちに随分と雰囲気が変わって……」


私は、ただただ驚きを隠せない。


だって私の知っている去年までの夏海ちゃんは、黒髪でいつもすっぴんで。

オシャレとかは無縁の、男勝りなかっこいい女の子だったから。

まさか、あんな綺麗な女性になってるなんて。


「姉貴今年から上京して、メイクとかオシャレに目覚めたんだってさ」

「そうだったんだ。私、それ知らなくて。ほんと別人みたいだったから、SNSでふたりの写真を見ててっきり彼女だとばかり……」

「あー、あの写真。実は、姉貴が最近大学で変な男につきまとわれるみたいでさ。男避けのために、載せて欲しいって言われたんだよ」


そうだったんだ。


「……もしかして、不安にさせちまった?」


私は、こくんと頷く。


「だって大地、最近私がメッセージ送っても全然返事くれないし。その上、あんな写真まで見たら……っ」


私は突然、大地に抱き寄せられた。


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