ナミダ花火


言い忘れてたこと?


「その新しい浴衣。鈴華めっちゃ似合ってるよ。可愛い鈴華が、もっと可愛くなった」

「もう、大地ってば。いきなりそんなこと言われたら照れるよ」


私は、大地から顔をそらしてしまう。


「あ。鈴華、顔赤くなってる。かき氷食べて冷やしたほうが良いんじゃね? ほら、あーん」


大地が笑顔で食べさせてくれたいちごのかき氷は冷たくて、とびきり甘く感じた。



──私の勘違いのせいで、一時はもう大地と花火は見られないかもしれないとさえ思ってしまったけれど。


10年前のあの日。あまりの美しさに涙した花火を、今年も大地と見ることができて良かった。

そして何より、今日大地とお互いの想いが通じ合うことができて本当に良かった。


「なあ、鈴華。これから、色んなことがあるかもしれないけど。この先どんなことがあっても俺たち、毎年ここで一緒に花火を見ような。
社会人になっても、しわしわのじいちゃんばあちゃんになっても……ずっと仲良く」

「うん、そうだね。約束」


高校1年生の夏。


星が瞬く空の下で、私と大地は6歳のあの頃のようにそっと指きりをした。


*END*


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