ナミダ花火


「べっ、別に泣いてなんか……」

「嘘つけ。ここ、涙のあとついてるじゃん」


私の目元から頬にかけて、大地にすーっと指でなぞられる。


く、くすぐったいんだけど。


幼少の頃からずっと一緒にいる大地には、何でもお見通しのようだ。


「ははっ。お前、柄にもなく泣いてんの。やーい、鈴華の泣き虫」

「〜っ、」


大地にだけは、見られたくなかったのに。


泣いた顔なんて。


ぜったい笑われるって、分かってたから。


「もしかして鈴華、俺と離れるのが寂しくて泣いてたとか?」

「ちっ、違うから」


……なんて。

本当は、生まれたときから今までずっと一緒だった大地と、高校で離れ離れになるのが悲しくて、思わず泣いてしまったというのに。


素直じゃない私は、つい否定してしまう。


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