ナミダ花火


「そっか、違うか。……俺は、寂しいけどな」

「……え?」

「鈴華と、離れるの」


私と大地の間を、ふわりと春風が吹き抜ける。


「本当に?」

「ああ。だって俺ら、生まれたときから今までずっと一緒だったんだぞ? そんなの寂しいに決まってんだろ」


ぷいっとそっぽを向いた大地の横顔が、ほんのりと赤くなっている。


照れくさそうにしながらも、ちゃんと伝えてくれたことが嬉しくて。


私だけじゃなくて、大地も……同じように寂しいって思ってくれてるんだ。


「ほっ、本当はね……私も。大地と離れるのは、寂しいって思ってた。そうしたら、なんか泣けてきちゃって」

「……ふ。やっぱ泣いてたんじゃん。ほんと素直じゃないなぁ」


大地に頭をぽんっと軽く叩かれる。


「そんな泣き虫なヤツには、これをやるよ。手、出してみ?」


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