ナミダ花火


大地に言われたとおり、私が右手を差し出すと。


手のひらに、サッカーボールのストラップが置かれた。


サッカーボールのそばには、金色の小さい鈴もついている。


「えっと、大地……これは?」

「サッカーボールと鈴だけど? なんかこれ、ふたつが仲良く寄り添っててさ。俺と鈴華みたいだなって思って」


私と、大地?


「サッカーボールは、サッカーが好きな俺。
んで、金色の鈴が鈴華。これ持ってたら、お互いのこと忘れないでいられるかなって思って買ったんだ。離れてても一緒だぞって」


大地が、ズボンのポケットからスマホを取り出す。


そこには、私がたった今貰ったストラップと同じものがついている。


「ちなみにこれは俺とお揃いだから。その……ペアルックとかそういうのが嫌なら、別に捨ててくれても……」

「ううん、捨てるわけない」


私は、ストラップをさっそく自分のスマホにつける。


「ありがとう大地。大切にするね」

「おう。なあ、鈴華」

「なに?」


大地が急に真剣な顔つきになった。


「その、お前は俺の……一番大事な女だから。これからもずっと。それだけは覚えといて」


< 8 / 21 >

この作品をシェア

pagetop