沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
それなのに
夏休みが明けたら、姫野の態度が一変。
『もう私に、話しかけないで』
『大事な人がいるから』
それらの言葉で突き放されて
――関わりたくない。
俺に対して、拒絶オーラをみなぎらせていて。
それから今日までの一年間。
俺も俺で、姫野を拒絶し続けてきたんだ。
過去に飛ばしていた意識を、現在に戻す。
夜の観覧車。
対角線の席に座る俺と姫野。
お互い反対の窓から、黙って外を眺めている。
気まずい空気が流れる中、いきなり姫野が弱々しい声で囁いた。