沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
「あんな女が言ったことは信じるな。俺と沙理奈は、そういう仲じゃない」
「でも暴走族の総長は、命がけで姫を溺愛するものでしょ?」
はぁぁぁぁ~
勘違いしすぎ。
何から説明すれば、わかってもらえるんだよ。
「沙理奈は前の総長の女」
「えっ? 東条くんじゃなくて?」
「俺の前の総長は、高波さんって言うんだけど。沙理奈との縁を切りたくて、俺のチームから去ったんだ。それで沙理奈だけが残った」
「でも総長は自分の男だって……」
「高波さんにフラれてから、俺にしつこくつきまとってきたんだよ。付き合え付き合えって。俺は完全に無視してたけど」
「なんでダメだったの? 女優さんでもおかしくないくらいの美人さんだったのに?」
「どこが?」
「背が高いし、金髪がサラサラで綺麗だし、色気もあるし……」
俺の好きなタイプは、姫野結衣花。
オマエなんだよ!
あんな女、ストライクゾーンにかすってもいない。