沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
沙理奈の奴。
弟の情報を仕入れて、脅したってことか。
姫野が他の男を好きになったって俺が勘違いしたのも、あの女のせいじゃん。
こんど百目鬼に来るようなことがあったら、怒鳴りつけてやる。
「姫野、悪かったな。オマエの話をちゃんと聞かず、きつい態度をとって」
「とっ…東条くんのせいじゃないよ。私がちゃんと話さなかったのがいけなかったし……それにね」
「ん?」
「嬉しかったよ。今夜、遊園地に来てくれて。ずっと伝えたいなって思ってたことがあったから、東条くんに」
「何? 伝えたいことって」
「わっ……いいっ…今はまだ言えないって言うか。頭の中がぐちゃぐちゃで、なんて言おうか頭の中が整理できていないっていうか……」
「じゃあ……」
「ん?」
「俺から言わせて」
「何を?」
「姫野に、ずっと伝えたかったこと」