沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
結衣花side
☆結衣花side☆
観覧車の中。
対角線の席に座っている私たち。
ふわっ。
ちょっとだけ観覧車が傾いたことに気づいたのは、私の指から垂れる赤いヨーヨーがグワンと揺れたからで。
目の前に感じるワイルドな気配。
私の心も、ヨーヨーに負けないくらい大きく揺らぐ。
真剣な顔で東条くんが座ったのは、私の隣。
腕同士が当たっちゃいそうなくらいの至近距離。
ひゃっ!
……離れてください。
……今すぐに。
だって
私の耳に鳴り響いているドキドキの爆音が、東条くんにも聞こえちゃいそうだから。