沼甘総長は、左手の薬指を独占したい

ゆっくり近づいてきた、男らしい手のひら。

私の右頬を優しく包み込んでくる。


東条君の瞳が、オスっぽく揺らいだ。

見つめ合った視線をほどけないのは、東条くんの魅力に沼りきっているからだと思う。



ドキドキに拍車がかかる。


心臓が飛び出しそうなほど、肌にバコバコぶつかっていて。

深呼吸をしても、爆動は落ち着いてくれなくて。


もどかしいくらいゆっくりと近づいてくる、東条くんのワイルドフェイス。


唇に彼の吐息を感じたところで、私はすーっと瞳を閉じた。



「大好きだよ、姫野」



チュッ。


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