沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
私の机の右端。
ゴツゴツとした男らしい手がのっかっている。
この手が、私の机をバンと叩いたことは明白なんだけど。
彼の手の下には、カラフルなチラシが挟まっていて……
椅子に座る私の真横。
ドーンと立つあなたは……一体、誰ですか?
現実を知るのが怖い私。
目玉だけを横にずらしてみた。
恐る、恐る。
ゆっくり、ゆっくりと。
まず目に留まったのは、着崩された制服。
ブレザーのボタンは留められてはいなくて、前側がはだけている。
風紀委員長がここにいたら
『制服はちゃんと着なさい』
目を吊り上げて、笛でピーピー警告をしてきそう。
厳しめな、我が学園の風紀委員長のことは置いといて……