沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



甘く響いたリップ音が、夜の観覧車の中に溶けていく。


東条君は私から唇を離したのに、まだ私の頬を手のひらで包んだままで。

めまいがするほどの胸キュンに襲われた私は、うつむいたまま動けない。



体中がテレとドキドキで火照って、恋熱を下げられなくて困る。


キスの後、どんな表情で東条くんを見つめればいいかわからない。


でも、これだけは伝えなきゃ。



「東条くん……私も……大好きだからね……」





目を見開き、驚き顔で固まった東条くん。



「俺は永遠に沼り続けるんだろうな、姫野に」



真っ赤な顔を手のひらで隠しながら



「あぁぁぁ、マジで可愛すぎだし」



天井を見上げてしまったのでした。




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