沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



――そして観覧車は

  最高到達点にさしかかろうとしています。





「ねぇ姫野。これ、俺に貸して」



東条君くんが、指さしているものって……



「……ヨーヨー? もちろんいいけど。どうぞ」


「サンキュ」


「次は左手出して」


「あっ、うん」



東条くんの隣に座ったまま、頷いた私。


何をするんだろう?

手相占い?


私は首をかしげながら、左手を差し出す。



「手のひらを下に向けて」


「これでいい?」

< 111 / 115 >

この作品をシェア

pagetop