沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
――そして観覧車は
最高到達点にさしかかろうとしています。
「ねぇ姫野。これ、俺に貸して」
東条君くんが、指さしているものって……
「……ヨーヨー? もちろんいいけど。どうぞ」
「サンキュ」
「次は左手出して」
「あっ、うん」
東条くんの隣に座ったまま、頷いた私。
何をするんだろう?
手相占い?
私は首をかしげながら、左手を差し出す。
「手のひらを下に向けて」
「これでいい?」