沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
すぐに唇が離れてくれた。
良かったぁ。
温もりもさっと消え、私はホッとしたものの……
「これじゃあ、俺の愛は刻めないよな」
もう一回と言わんばかりに、左手の薬指に唇を押し当ててきたんだもん。
強く吸われて
それが何秒も続いて
甘さを感じているのは指なのに、もう無理ってなっちゃって
「ひぃあぁぁぁぁ!」
キスをされ続けた手を、私は勢いよく引っこ抜いちゃった。
「ったく、恥ずかしがり屋だな」
私を引き寄せるように、強引に抱きしめないで。
「俺から逃げるな」
ものすごーく甘い命令声を、私の耳に吹きかけないで。
「俺は一生、姫野を逃がす気はないからな」
耳が溶けそう。
心臓……とろけそう……