沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



「なっ…なんで、私の指にキスなんかしたの?」


「本当は今すぐ、姫野の左手の薬指に指輪をはめたい。この女は俺のものって、世界中の男にわからせるために」


「……」


「今度お揃いの指輪、買いに行こうな。それまではキスマークをつけておこうと思って。消えたらすぐ言えよ。またつけるから」



指輪って……



「左手の薬指にはめる指輪は、永遠の愛を誓う特別なものだよ」


「だからだよ」


「えっ?」


「来年も10年後も50年後も、毎年一緒に、この夏祭りに来ような。結衣花」




……ゆいか。


初めて名前で呼ばれた。

心臓が震えあがるほど、嬉しすぎだよ。


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