沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
あれから一年。
今は……
東条くんは私を無視状態。
高校ですれ違っても、目すら合わせてくれない。
完全に嫌われている。
はぁぁぁぁぁ~。
私の恋は叶わない。
痛い現実をわかっているはずなのに。
私は何をやっているんだろう……
今日は朝から、気合を入れて夏祭りの支度をしちゃった。
『お待たせ』
真っ赤な浴衣姿の東条くんに、遊園地で会えるかもって期待をして。
『桜色の浴衣、姫野に似合ってる』
ワイルドで甘い言葉が、もう一度聞きたくて。
『来年も 一緒に花火を見ような』
私の未来を縛る約束を、東条くんにして欲しくて。