沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
お姉さん顔で、私の頭を撫でるアズちゃん。
陽だまりみたいなアズちゃんの優しい表情が、私は大好き。
「もっと褒めて」と、ついおねだりしてしまう。
「市の花火大会、来週末だね。 このかわいい浴衣を着て、結衣花、初彼をゲットしてこい」
そのことなんだけど……
「私……市の花火大会は行けなくなっちゃって……」
「えっ? そのために浴衣を買ったんじゃないの?」
「……そうだけど」
「なんで行けなくなった? さやか達に誘われてたじゃん。彼氏いない組で出店まわろって」
「たこ焼きとグルグルウインナーとりんご飴を食べるつもりでいたんだけど……」
「食べすぎ。帯をまいてるし、お腹痛くなるよ。って、まぁそんなことは置いといて。けどなに?」
「当日の夜ね、バイトに入ることになっちゃって」
「ウソ? かなり前からバイトの休みを取ってたよね?」
店長からも、休みのOKはもらってたんだけど……