沼甘総長は、左手の薬指を独占したい

道の隅に座り、傷口に絆創膏をペタリ。

ヤンチャ盛りの弟のため、絆創膏は必需品。


常にお財布に入れておいたけれど。


3枚じゃ足らないか。

右の太ももが、広範囲で擦り切れているし。



カバンからハンドタオルを取りだし、傷口の上にのせる。

胸元に結んであった制服のリボンをほどき、太ももとタオルを縛りつけた。



これで血は垂れてこない。

スカートで隠れているから、「太もも、どうしたの?」って友達に声をかけられることもないだろうし。


それらは安心なんだけど。

不安なことが、二つあるんだ。



痛い足を引きずって歩いて、登校時刻までに間に合うかな?


そして


門番をしている風紀委員長さんに

『制服のリボンはどうした?』って怒られないかな?

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