沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
振られてからのこの一年
ずっと大好きでたまらなかった。
生徒集会で東条くんがステージに上がるたび
「カッコいいなぁ」
密かに見つめていた。
『東条朝都』
名前の文字だけでも瞳に映したい。
テスト後
上位者の名前が貼りだされるたび
『結衣花は入ってないでしょ?』
アズちゃんに突っ込まれながらも、真っ先に見に行っていたし。
体育大会のバスケの試合では
『生徒会長、またダンクシュート決めた』
『文武両道の最強総長。たまらないよね~』
キャーキャー飛び跳ねる女子に隠れながら
『頑張って!』
密かに、東条くんを応援してた。
高校卒業まであと7か月。
卒業して彼を瞳に映すことがなくなれば
私の恋心は、完全に消え去ってくれるのかな?
それとも……
『好き』の気持ちが一生消えなくて
毎年、未練たらしく来ちゃうのかな?
年に一度だけ開催される、遊園地のこの夏祭りに。