沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
「……声を張り上げて……悪かった」
俺は姫野から離れ、観覧者の座席に座る。
泣きそうな姫野は、俺とは反対側の対角線に座った。
俺から一番遠い場所。
どれだけ俺のことが嫌いなわけ?
本命の男に申し訳ないっていう罪悪感でも抱いてんの?
俺に襲われるって怯えてるとか?
安心しろ。
もう俺は、姫野のことは諦めた。
オマエを手に入れたいなんて思っていない。
これっぽっちも……
一ミリも……