沼甘総長は、左手の薬指を独占したい


観覧車から、夜の遊園地を見下ろす。


あそこはステージかぁ。

俺が初めて、女に沼ったとこじゃん。

懐かしいなぁ。


姫野に惚れたあの日のことを、俺は脳裏に映しだす。




あれは1年以上前。

高2になってすぐの頃。

俺はこの遊園地に連れてこられた。



「お兄ちゃん、早く早く~」


小夜(さよ)、客席の階段を駆け下りるな。転ぶぞ」


「だって前の方で見たいもん。恋のお守り戦隊アミュレンジャーショー。ほら、どんどん席が取られてる~」



小夜は幼稚園児。

年が離れた俺の妹。


戦隊ヒーローが幼稚園で流行ってるらしく


「お兄ちゃん、私の誕生日だから連れてって」


しつこく迫られた結果、俺は遊園地に来る羽目に。

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