沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
ヒーローショーって、家族連ればっかりじゃん。
男子高校生が見るもんじゃないだろ?
ぜってーつまんねぇ。
見る前から確定。
ショーって30分くらいで終わるよな?
その間、小夜の隣で寝てればいっか。
「前から3列目。小夜、ここならいいだろ?」
「う~ん。本当は一番前で見たかったなぁ。でも真ん中だし。ここでいいにしてあげるね、お兄ちゃん」
上から目線の妹。
ガキの頃の俺そっくり。
そういう生意気なとこ、まぁ~嫌いじゃないけど。
早くショーが始まって、一瞬で終わってくれないかなぁ。
時間の無駄とばかりに、俺は顔をしかめて座っていたんだけど。
こいつ、俺の同志じゃね?
前の前の列。
斜め前に、見たことがある女子高生を見つけた。