沼甘総長は、左手の薬指を独占したい


ヒーローショーって、家族連ればっかりじゃん。

男子高校生が見るもんじゃないだろ?


ぜってーつまんねぇ。

見る前から確定。


ショーって30分くらいで終わるよな?

その間、小夜の隣で寝てればいっか。



「前から3列目。小夜、ここならいいだろ?」


「う~ん。本当は一番前で見たかったなぁ。でも真ん中だし。ここでいいにしてあげるね、お兄ちゃん」



上から目線の妹。

ガキの頃の俺そっくり。

そういう生意気なとこ、まぁ~嫌いじゃないけど。



早くショーが始まって、一瞬で終わってくれないかなぁ。

時間の無駄とばかりに、俺は顔をしかめて座っていたんだけど。


こいつ、俺の同志じゃね?


前の前の列。

斜め前に、見たことがある女子高生を見つけた。

< 82 / 115 >

この作品をシェア

pagetop