沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
同じ高校で、俺と同じ高2。
隣のクラスの奴。
名前は確か……姫野なんとか。
女嫌いな俺が、なんで女の顔と苗字を知ってるのかって?
同級生の暴走族仲間で、何人かいるんだよ。
「姫野さんが、うちのクラスの前通った」
「笑うと天使なんだよなぁ~」
目をハートにして、意味わかんないことをしゃべりだす奴ら。
「姫野さんがクソ可愛いって、総長も思うよな?」
興味なしって顔で、俺は手をヒラヒラ。
「そうか? 女なんて全員、同じ顔にしか見えない」
「総長、相変わらずの塩。しょっぱすぎ。そいいうとこが、マジたまんねぇけど」
「褒めるなら、俺が喜ぶ言葉を使え」
俺は高校で姫野を見ても、興味なんて全く沸かなかったんだ。