沼甘総長は、左手の薬指を独占したい


「私の沼にはまったら、一生逃がさないからね。逃げ出しそうになってもアズちゃんの足をガシっと掴んで、さらに深い沼にひきずりこむから。覚悟しておいてよ」


「ぷっ。結衣花、なにそれ」


「ずっと私の親友でいてってこと」



イヒヒと悪っぽく微笑む私に、アズちゃんは


「結衣花沼の中でも窒息死しないように、肺活量を鍛えとくわ」だって。



アズちゃんの言葉選びが面白くて、教室に響くぐらいの大声で笑っちゃった。




お昼休みの時間は、毎回楽しくてたまらない。


明日から夏休み突入。

9月になるまで、アズちゃんとのお弁当タイムはお預けかぁ。


淋しさが、私の心に影を落とす。


でも陽キャなアズちゃんは、私の心を晴天にする天才なんだ。

楽しい話で、私をたくさん笑わせようとしてくる。


「アズちゃん、人間と友達になりたい宇宙人の話はやめて。ストップストップ。笑いが止まらないの。お腹痛いの。アハハ~」

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