沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
「チームの仲間。同級生組全員だよ~」
「ウソ……だろ?」
俺が女に沼ってるってこと、オマエらにバレてたってことか?
「だって総長、姫野さんのこと目で追いすぎだし」
「……っ」
「気づいてなかった? たまにポロっと言ってたよ」
「俺……なんて言ってた?」
「姫野さんが笑ってるところ見て、『可愛いやつ』って」
うわぁぁぁ……
マジかぁ……
俺の中の好きが、ダダ洩れだったってことじゃん。
隠しきれていると自負してた自分が、恥ずすぎる。
「安心しなよ。総長が姫野さんを好きなこと、俺らしか気づいてないから」
隣の教室から、顔を出すヤツらが目に入った。
男子4人。
みんな暴走族の仲間。
ヤンチャな笑みを浮かべながら
『総長、行け行け~』
『男見せろ~』
と、口パクで俺に訴えている。
俺は申し訳なさそうな目を、壮太に突き刺した。