沼甘総長は、左手の薬指を独占したい


「オマエはいいわけ?」


「何が?」


「好きだったんじゃないの? 姫野のこと」


「まぁね」


「俺は総長だ。オマエの恋心を踏みつけるような真似はしたくない。かといって、姫野への想いも捨てられない」


「俺のことなんて気にしないで。勝負する前から、俺は総長に負けてるんだから」


「喧嘩の強さ?」


「姫野さんへの気持ちの大きさだよ」


「……は?」


「女嫌いの総長が、これだけ惚れこんでるんだから。俺は応援する側にまわるしかしかないっしょ? 他の奴らも同じ気持ちだよ」


「……壮太」



「俺は死ぬまでつるんでたいんだ。総長の親友としてね」




「……オマエ、良い奴すぎだろ?」


「今更気づいた?」


「バーカ!」



出会った時から感謝してたし。


俺様で頑固で我が強い。

そんな付き合いずらい俺と、わちゃわちゃツルんでくれてサンキューって。

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