沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
「そんなことなら、何日でも付き合ってやる」
「海行きたいなぁ、海。彼女欲しい~って、大声で叫びたいし」
「なぁ、壮太」
「なに?」
「俺のダチでいてくれて……ありがとな……」
俺は珍しく、壮太にマジ顔を向けた。
「女に告白されるより、総長からの感謝の方が100倍嬉しいかも」
満足げに笑う壮太。
俺の胸元に、遊園地のチラシを押し当ててくる。
「じゃあ、行ってくる」
「俺らの総長はカッコいいってとこ、証明してきて」
「アハハ。恋のハードル上げんな、バーカ!」
冗談笑いを浮かべながらチラシを受け取り、教室に入る。
勇気をかき集め、俺は姫野を夏祭りに誘った。