沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
恥ずかしさが募りすぎて、俺の中でいっぱいいっぱいで。
『夜の7時……遊園地の入り口……集合な……』
断りにくい、強引な誘い方になっちゃったけど。
夏祭り当日。
本当に姫野が来てくれた。
夜の遊園地で、俺と手をつないでくれた。
ほとんどの時間、お互い無言だったけれど
『色違いのヨーヨーを、一緒に揺らしている』
それだけで、胸がいっぱいになるほど幸せで
隣にいてくれるだけで、俺の心がスキップするように飛び跳ねだして。
俺は自分の物にしたくなったんだ。
姫野の未来を。
他の男に、奪われないために。
『来年も一緒に 花火を見ような』
観覧車の中、勇気を出して紡いだ言葉。
姫野は頷いてくれた。
恥ずかしそうに。
『うん』って。