スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「こちらこそ初めまして、千愛です。お世話になります。よろしくお願いいたします」


 由良乃さんがいらっしゃるリビングは、玄関から続いている回廊の曲線を引き継ぐように美しい曲線がゾーニングされている。
 心の中でキョロキョロしてしまって、ひとり恥ずかしく思う。


「……ふふ、ようこそ。千愛さん」

「あっ、すみません。由良乃様。本日からお世話になります」

「えぇ、よろしくね。もうあなたも由良乃になるのですから苗字よびはおかしいわよ。そうね……お祖母様でいいのよ」


 そうだよね、さっき書いたんだもの。一度心の中で練習するように「お祖母様」と言ってから声に出した。

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