スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。

◇テーブル煎茶




 朝、私は久しぶりに早く起きた。最近はすることがないからか結構な遅めに目を覚ましていたけど……今日は早く起きた、というか起きてしまった。


「おはよう、千愛。早いのねぇ」

「おはようございますっ、目が覚めてしまって……緊張して」

「テーブルでするラフな茶会なんだからそんなに緊張しなくてもいいんじゃないかしら? お友達作る気持ちで行けばいいのよ」

「そう、ですけど……」


 そうは言うけど……お祖母様。私、今回初めて茶会に行くんです。お茶会なんて行ったことないし、作法もほとんど知らない。
 だから、念のためネットの動画で【煎茶道 テーブル 作法】って検索してしまったほどだ。


「千愛、今日は俺も行くから大丈夫だよ。心配しないで」

「和成さん……」

「ね? 今はリラックスしよう。それでこのパンケーキを食べよ」

「……はい。そうですね」


 私の目の前には、少し覚めてしまった朝食。今日の朝食は、バタークリームが乗ったパンケーキとスクランブルエッグにレタスのサラダ、ソーセージのプレートに汁物は野菜たっぷりのミネストローネだ。
 私はナイフとフォークを用いてパンケーキを一口サイズに切って食べた。


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