スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
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家を出て三十分ほど経った頃。私は大宮流煎茶道家のお屋敷に到着した。そこは日本庭園という感じの場所でとても歴史あふれる建物だった。
「千愛。こっちから入るよ」
「あ、はい」
門を通って露地で手と口を清める。手は体、口は心を清めるという意味らしい。それから建物に入ると今日の参加者なのか数人がいた。受付のスタッフさんに案内されて私は控室に向かう。
靴下っていつ履けばいいんだろう……?と考えていると、和成さんに小さい声で控室で靴下は履けばいいと言われて安心した。控室に入ったはいいんだけど、誰もいない。私たちだけの部屋みたいだ。
「靴下履くんだろう? ここで履きな」
「う、うん」
和成さんに座布団を用意してもらいそれに座ると、亜美に準備してもらった靴下を履いた。