スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。


 そして私たちの方向を向き再び礼をして「本日はお越しいただきありがとうございます」と挨拶をした。そして、盆に乗っている道具をそれぞれの定位置に置いた。湯冷ましや茶碗を丁寧にゆっくりと起こしていく。

 まず、湯冷ましにお湯を注ぎ入れその次に急須、そして茶碗の順に注いだ。その次に茶入を回し入れながら茶合に茶葉を乗せた。
 そして急須の中に茶葉を入れて湯冷ましに入っているお湯をまずは入れて蓋をする。茶碗のお湯は建水に捨てると、急須を持ち回すと素早く茶碗に入れた。

 ……一口、くらいあるかなぁってほど。だけど、以前にそれくらいが適量なんだと聞いたことがある。するとお茶の旨みとかが溢れ出て美味しいんだとか。
 それで最後の一滴が“黄金の一滴”と言われていてそこにお茶の旨みが凝縮されているんだとかなんとかってお父さんも言っていた気がする。

 大宮さんは茶碗の底を茶巾で拭くと茶托に乗せると、先ほどの男性スタッフが一つずつ配った。

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