スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「頂戴いたします」


 そう一人が言うと、それぞれに同じ言葉を皆が言う。和成さんもそう言っていたので私も「頂戴、いたします」と少しカタコトになりながら言って和成さんを盗み見ながら左手を茶托に添えると茶碗を右手で取って左手に乗せて両手を使いいただく。

 茶碗に口をつけると、お茶の香りがふわっと香ってそれを一口飲む。そして香りと色を楽しんで静かに飲んだ。
 ほのかな甘みと、旨みがあってとても美味しい。


「……美味しゅうございました」


 そういった言葉が次々に聞こえて私も慌てて「美味しゅうございました」と言った。


< 37 / 97 >

この作品をシェア

pagetop