スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。


「大宮さんは、千愛とも顔見知りだしこの前もお茶会に行ってきたんでしょう? だからいいかなと私は思ったのだけど」

「えっと、いきなりのことだったので驚いてしまって……」

「そうね。急に縁談って言われてもねぇ驚くわよね。じゃあ、綺麗なお着物着て大宮さんと美味しい食事をしてくるならどう……?」


 確かに、それならいけるかもしれない。そう思って「多分、大丈夫です」と言う。


「良かった。もうね、返事しちゃったの……了承してくれて良かったわぁ」


 相変わらず行動が早い。

「は、はぁ……」

「場所は老舗の料亭でね【湊】と言うお店よ。お魚も美味しいんだけど、発酵料理が美味しくてね」

「発酵料理?」

「えぇ。それに由良乃製茶のお茶も取り扱ってくださっているからよく食べに行くの。料理にも使われててね」


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