スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
都会の灰色だった景色が緑色に、緑色だったのが青くなっていった。
「海……?」
「よし、到着。降りて」
大宮さんは運転席から降りると、助手席のドアを開けて今度は降りやすいように手を差し出してくれた。外に出ると、潮風の匂いがした。それに、周りを見れば可愛らしい素敵な建物が見える。
「かわいい……」
「だろう?」
お店の方を見ると【Open】と看板が立っていてレストランなんだと見てわかった。
「いらっしゃいませ〜ご予約様でしょうか?」
店の奥から近づいてきた店員さんに聞かれて大宮さんは頷いて「大宮です」と言った。
「大宮様ですね。お待ちしておりました。お席に案内します。どうぞ」