スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「そうなのね。そういえば、煎茶道もお稽古してもらうのでしょう? 良かったわね」

「はい、来週からお稽古していただきます」


 私は由良乃家に来てたくさんのお稽古をして来た。礼儀作法にテーブルマナーや着付けに華道、香道、茶道、日本舞踊などなどの様々な習い事だ。
 だけど、煎茶道は初めて習う。茶席で座ってるだけでも緊張したのにする側になったら、どうなるんだろうと思っている。



「そういえば和成さんは……?」

「和成は今、海外にいるの。出張でね」


 そっか、海外……海外なら、見なくてもおかしくないか。だけど、ここに来てからずっと一緒にいてくれたから会えないと寂しい。


「そうなんですね」

「何か用事だったかしら?」

「お見合いの日に着たお着物、和成さんが着物自体を選んでくださったもので……だからお礼を言っておこうと思ったんです。メッセージで送ろうと思ったんですけど、直接、言いたいなって」


 洋服のようなお姫様のような着物と小物を選んでくれたのは和成さんだ。だからお礼を言いたかったんだけど……


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