スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「そうなんですね」

「そうなの。あ、安心してね! 私たち、仲はいいけど男女の関係じゃないからね。私、旦那も子どももいるからさ」

「結婚されてたんですか?」

「えぇ。それに、大宮くんは千愛さんのことだい――」


 先生が何かを言いかけたとき、大宮さんの「おい」と先生の言葉を遮った。


「ま、そういうことよ。じゃあ、またね。千愛さん」

「はい。ありがとうございました」


 私たちは花屋敷の邸宅から出て、すぐ近くにある駐車場に向かった。車に乗ると大宮さんは「家かデザート、どっちがいい?」と問いかける。

 疲れてるし家に帰りたい気持ちもあるけど、デザートも食べたい気持ちがある。うーん……どちらも捨てがたい。


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