スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
ただ、自分が通っていた和菓子屋の娘がこんな風になって同情もあるんじゃないかなぁって思っている……あくまで推測だけど。
「……もしかして気づかれていない?」
亜美は、そう呟きジト目をした。なんでそんな目で見るの!?
「何に、気づくの?」
「……それは自分で気づいて頂いた方がよろしいかと思いますよ。よし、できました」
美容院のような鏡を持ってきて後ろの様子を見せてくれた。そこには緩いお団子の髪に小さな控えめの小花の簪がついていた。
「かわいい……ありがと」
「いいえ。今日の淡いピンクの着物も可愛らしいですね」