スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
今日、着た着物は淡く艶やかなピンクの絹地に雲文に金彩を品よく添えた吉祥の花々が咲き誇っていて絞りぞめや駒刺繍などの細やかな装飾が素敵な品だ。
「私も可愛いと思うわ。でも、お稽古に行くだけなのにこんな素敵なのでいいのかな」
「何をおっしゃってるんですか? 今からは、大宮様のところでお稽古なんですからデートも同然です」
「デートって……お稽古よ。お稽古の後は、お出かけに誘われているけど」
「それじゃあ、デート行くじゃないですか! なら大丈夫ですよ。もうそろそろ、大宮さんお迎えじゃないですか」
そう言われて時計を見るともうすぐお迎えの時間だった。だから私は亜美に行って来ますと言って、下に降りるとリビングで楽しそうな話し声が聞こえてリビングのドアを開ける。