スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



 家に戻り、着ていた着物を脱ぎ亜美にお店が開けるんじゃないかというくらいのエステを受ける。体の隅々までマッサージをされると身体も軽くなったようだ。

「メイクの前にドレス着ましょうか」

「はい」


 亜美にドレスを渡されて、背中のファスナーを下ろす。
 今日は、アンティーク調の刺繍レースが施されたレトロな雰囲気のライトカーキのフレアドレスだ。長めの五分袖で袖口のシャーリングが可愛い。腰にはアイボリーのフェイクレザーベルトをして腕には三連のマグネットブレスレッドを付けた。


「今日も髪を編み下ろしにしようと思っているのですが、どうでしょう? ヘアアクセはフラワーパールピンにしようと思っています」


 彼女は透明な箱に入っているピンを私に見せてくれた。フラワーをモチーフにしてパールとクリスタルビジューがキラキラしていて上品なものだ。

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