【コミカライズ】竜騎士様の最愛花嫁
不意に声をかけられて顔を上げると、館長であるアルフレード様が心配そうにこちらを見ていた。アルフレード様はオルモ伯爵家の出身で、実家が没落して困っていた私に司書にならないかと誘ってくれた方だ。

「あ、大丈夫です」

私は笑ってその場を誤魔化した。



ようやく、閉館を知らせる鐘が鳴る。
ほっと一息ついたそのとき、カウンターに座る私の前に影が差した。

「申し訳ありません。本日はもう終了で──」

顔を上げた私は、そこにいる人を見て固まった。
そこには、にこりと微笑むレオの姿があったのだ。
私は唖然としてレオを見上げる。

「迎えに来たよ。一緒に帰ろう」
「帰るってどこに?」
「もちろん、俺の家だよ。婚約者なんだから、一緒に暮らそう」
「ええっ!? 無理よ。さっき、婚約破棄してほしいって伝えたわ」
「俺はさっき、破棄しないって伝えた」

いやいやいや!
色々と突っ込みどころが多すぎる。

< 12 / 63 >

この作品をシェア

pagetop