【コミカライズ】竜騎士様の最愛花嫁
「ねえ、あれって英雄竜騎士様じゃない?」
「え? 本当に? 本を借りているのかしら?」

まだ館内に残っていたお客様がレオの存在に気づき、遠巻きにこちらを眺めながらひそひそと話す声が聞こえてくる。

(あー、もう! 目立ちすぎ!)

レオは自分が『英雄竜騎士様』と呼ばれるほど国民的人気の存在で、かつとても人の目を惹く容姿をしている自覚がないのだろうか。

「ヴァレリオ様。ちょっとこっちに来てください」

 私は立ち上がると、レオの腕を掴んで大急ぎで図書館の奥に連れて行く。

「どうしてこんなところに来ているのですか!」
「どうしてって、エレンを迎えに来た。一緒に帰ろうと思って」
「だから、それは無理だって言いました」

私はきっぱりと、もう一度言う。

「どうして?」
「え?」
「どうして無理なのかな?」

レオは黒い笑みを浮かべると、書架の前に立つ私の顔の横にドンと腕をつく。

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