LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「おはようございます!」
大きな声であいさつする。
「あ、おはよう!」
明るい声が返って来た。
「頭ぶつけたでしょ、すごい音したよ。大丈夫?」
しっかり気付かれていた。
「だ、大丈夫です」
一生懸命笑顔を作るが、自分でも引きつっているのがわかる。
にこにこしながら日長直哉が現れた。面接のときもずっと笑顔だった。整った甘い顔立ちに茶色の髪。彼の明るさを表現するかのようで、よく似合っている。彼の笑顔からはお日様のような温かさを感じた。背の高い彼がスーツを着ると、スマートな外見がさらに整って見えた。
イケメンに見られたかと思うとなお一層はずかしい。
「おはようございます。今日からよろしくお願いします」
ごまかすように、藍は頭を下げた。
「こちらこそよろしく。じゃ、入って」
直哉は藍をロッカーのある事務所に案内した。面接のときにも入った部屋だった。四畳半ほどの部屋にデスクとパソコン、防犯カメラの映像を映すモニターがある。壁際には5個のロッカー。
「貴重品とスマホは持ち込み禁止ね。あとは――」
注意事項をいくつか言われる。その後、店内を案内される。
「見てわかる通り、事務所にロッカーがおいてあって、更衣室はないよ。着替えたいときは事務所に鍵かけて着替えてね。制服はないけどスーツ着用……は面接のときに言ったよね」
確認されて、藍は頷く。
直哉は続けた。