LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 土日の瑶煌は指輪のオーダーの受付でスケジュールが埋まっており、販売にまで手が回らない。突発的な修理依頼の受付もしている。

 接客の合間に、応接セットで真剣なまなざしで客に語る瑶煌の姿が見えた。

 デザイン画をテーブルに置き、悩むお客様に、選んだ石の良い点、弱点などを隠すことなく伝える。そうやって打ち合わせだけで数週間を要し、製作には一カ月ほどかかる。デザインによってはそれ以上かかる。

 直哉は本来土日は休みだ。だが。藍が独り立ちするまでは、と今日も店にたってくれている。

 瑠璃と純麗はそれぞれの個性を発揮して華麗に接客している。

 なのに、自分は。

 結局、役に立ってない。

 やめるなら早くやめてね、という瑠璃の言葉が蘇る。

 生活費を稼がなくてはならない。やめるなら次が決まってからにしたい。だけどそれでは……。

 堂々巡りの思考を繰り返す。

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