LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

28 二人だけの接客指導

 日曜の閉店作業後、直哉は瑠璃を誘って店を出ていった。

 純麗と一緒に藍も店を出ようとしたところ、瑶煌(たまき)に止められた。

「話があるから、茅野さんは残って」

 どきり、とした。

 純麗は「じゃあまたね」とにこやかに帰っていく。

 ああ、おいて行かないで。

 心の声は純麗には届かない。

 あまりに役に立っていないから、解雇だろうか。

 試用期間もまだ終わってないのに。

 いや、いっそそのほうがいいかもしれない。

 店長と二人きりなんて瑠璃に知られたら。

 藍はポケットのアクアマリンに、助けて、と祈った。

 が、そんな祈りが通じるはずもなく。

 藍は瑶煌に言われて店内の応接セットの椅子に座った。

 昼間は賑わって狭く感じていた店内が、急に広く感じられる。

 白いテーブルに飾られた赤いバラが、やけに存在を主張していた。

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