LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 今でも思い出す、滑り台の下の思い出。夕方で、影が長く伸びていた。

 もうお別れなのかと思うとわんわん泣いて、男の子が必死でなぐさめてくれた。懐かしく、温かい思い出。あのときからずっと、アクアマリンは彼女のお守りだ。

「ペンダントになっていたんですけど、壊れてしまって今ではつけられないんです。だけど、ずっと大切に持ってるんです。その石に祈ってから求人サイトを見たらここの募集を見つけて、これだ! と思って応募したんです」

「そうなんだ」

 少し驚いたように瑶煌が答えた。

 気になって顔をあげると、瑶煌はなぜか少しソワソワしていた。

「明日、その石を見せてくれる? 直せるかどうか、見てみるよ」

「はい。ありがとうございます」

 今も持ってます、とは恥ずかしくて言えずに、藍は返事をした。

「そうだ、今、接客の練習をしてみようか」

 唐突な提案に、藍は目をしばたかせた。瑶煌は相変わらずにこにこしている。

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