LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「瑠璃はさ、普段があんなんだからちょっと優しくしただけで「本当は優しい人なんだ」って評価が上がるでしょ? 瑶煌は黙ってても人が寄ってくる。俺なんかね、ちょっとぼうっとしてただけで「なにかあった? 悩んでる? 相談にのるよ」とか言われるわけさ。だからふだんは明るくしてるけど、ちょっと怒ると「そんな人だと思わなかった」とか言われて評価下がるんだよ、ひどいと思わない? 普段からすでにハイレベルな状態を求められるわけ。評価を上げたかったらそれ以上が求められるわけ」

 だから、まっさらな状態の藍のなかで自分の評価が上がっていく様子なのが心地いい。

「瑶煌が(うらや)ましくて(ねた)ましくて仕方ない。おれほど人付き合いがんばってるわけじゃないのに、きちんとあいつの周りには人がいる。仕事ぶりが評価されて。おまけに大会社の息子、ほうっておいても社長になれるだろうにその椅子をけっとばして自分の店を持って軌道に乗せて、あらたに人を雇うまでになって」

「……三人の店よ」

 瑠璃が言うと、直哉は寂しそうに微笑んだ。

「そうだね」

 瑠璃は両肘をついて手を組み、その上に頬をのせて横にいる直哉を見た。

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