LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「みんな言ってるわよ、桜内はむしろ仕事の邪魔って。一人だけ目立とうとして知識をひけらかしてうっとうしい。お客さんはそんな知識なんて欲しがってないの。素敵なジュエリーを買えればいいの。無駄に時間かけておしゃべりして、お客さんだって店員に気を遣って「すごいですね」って言うしかないじゃない」
ショックで何も言えなくなった。そんなふうに考えたことはなかった。新しいことを知るのは楽しい、お客さんも楽しいはず、と当時の瑠璃は思い込んでいた。お客さんも笑顔だったのに。新卒で入って一年目、誰よりも努力してきたつもりだった。
「逆にこっちがなにか教えてあげてももう知ってますとかなんとかマウントかましてきて、ほんっと、うっとうしい」
涙があふれそうになるのを、ぐっとこらえる。この人の前では泣きたくない。
「言いたいことがあるんなら言えばいいじゃない。いつもずけずけ言うくせに。何黙ってるのよ」
もう充分に心に刺さっているのに。もっとえぐろうとしてくるのはどうしてだろう。
涙を必死で抑えていると、近づいてくる誰かの足音が耳に入った。
「先輩、こっちにいますか?」
と言いながら現れたのは瑶煌だった。
「翡翠川くん、どうしたの?」
先輩は急にかわいらしく声色を変えた。上目遣いで瑶煌を見る。
「店長が呼んでますよ」
先輩は急に真顔になり、不満そうに「そう」とだけ答えて去った。
「……大丈夫か」
そう言う瑶煌の表情は見えなかった。瑠璃がうつむいていたから。
ショックで何も言えなくなった。そんなふうに考えたことはなかった。新しいことを知るのは楽しい、お客さんも楽しいはず、と当時の瑠璃は思い込んでいた。お客さんも笑顔だったのに。新卒で入って一年目、誰よりも努力してきたつもりだった。
「逆にこっちがなにか教えてあげてももう知ってますとかなんとかマウントかましてきて、ほんっと、うっとうしい」
涙があふれそうになるのを、ぐっとこらえる。この人の前では泣きたくない。
「言いたいことがあるんなら言えばいいじゃない。いつもずけずけ言うくせに。何黙ってるのよ」
もう充分に心に刺さっているのに。もっとえぐろうとしてくるのはどうしてだろう。
涙を必死で抑えていると、近づいてくる誰かの足音が耳に入った。
「先輩、こっちにいますか?」
と言いながら現れたのは瑶煌だった。
「翡翠川くん、どうしたの?」
先輩は急にかわいらしく声色を変えた。上目遣いで瑶煌を見る。
「店長が呼んでますよ」
先輩は急に真顔になり、不満そうに「そう」とだけ答えて去った。
「……大丈夫か」
そう言う瑶煌の表情は見えなかった。瑠璃がうつむいていたから。